前回の記事で、子どもに英語が話せるようになってほしいと願う親御さんには、まず親であるご自身が英語が話せるようになるマインドセットをもってほしいというお話をしました。
英語が苦手で国文科に進み、帰国子女でもなく、23歳まで留学経験もなかった私が、TOEICでは、英語を流暢に使うことができると言われる945点、翻訳や通訳をするようになった現在まで繰り返し繰り返し、使ってきた英語に対するマインドセット、いわば発想の転換法をご紹介します。
少し大袈裟かもしれませんが、これは「魔法」といってもいいかもしれません。
「魔法」は英語で何と言うでしょう?
「MAGIC」ですね! その頭文字をとって、
MA・・・間違っていい
GI・・・自信をもって
C・・・コミュニケーション
一つずつ、見ていきましょう。
「MA」・・・間違っていい!
発想の転換1つめ、「間違ってはいけない」→「間違えるから話せるようになる」に切り替えます。
間違ってはいけないと思うと、英語を話さなくなります。話さなければ、間違えることもないからです。でも間違っても大丈夫なんです。
私は、学生時代に赤坂にあるサンドイッチ屋さんでアルバイトをしていたことがあります。その辺には、外資系の会社が多くて、お客さんも英語を話す方がたくさんいらっしゃいました。当時英語がほとんど話せなかった私は、「お野菜全部おいれしてよろしいですか?」を伝えるために「全部、大丈夫」 だから、”Is everything OK?”と話していたんです。それで通じていたものですから、ずっと使っていました。
実はこれ、だいぶ後になってわかったのですが、”Is everything OK?”が使われる状況としては、ドタバタとあわてて走り回っている人や、哀しみのどん底にいる人などを気遣って、「大丈夫?」と聞くような時に使う言い回しだったんです。本来なら、”What would you like in your sandwich?”「サンド イッチには、何をおいれしましょうか?」が正解ではありますが、それでも、なんと野菜をさして「大丈夫?」で通じていたんですね。
お子さんのいる方々は、その子が日本語を習得してきた過程を振り返ってみると、間違えながら日本語を覚えてきたことが想像しやすいかと思います。
現在高校1年生になる娘がまだ小学校低学年の頃、私が仕事で大切なプレゼンがあり、その結果を心配しているとこんな言葉をかけてくれました。
「ママ、心配しなくて大丈夫だよ!結果は『神の味噌汁』!」
一瞬「???」となった私ですが、すぐに気づきました。
「あー、神のみぞ知る」と言ってくれたんだね、と。
間違っても大丈夫です。将来、かなりの確率で楽しい思い出に変わります。
「GI」・・・ 自信を持って!
発想の転換法2つ目、「私は英語が話せない」→「私は英語が話せる」に切り替えます
私は英語が話せない、という思い込んでいると、自信がなくなってしまう。自信がないと、背中は丸まりうつむき加減、声も小さくなってしまいます。カナダ人の夫は大学で教えていますが、学生さんの声が小さくて聞き取れないことがしばしばあります。それで、”Perdon me?”(もう一度言ってください)と聞くと、相手は自分の言っていることが間違っているのだと思って、話すのをやめてしまうんです。そうではなくて、声が小さくて聞こえないだけなのですね。
英語を大きな声で発声する練習をちょっと一緒にやってみましょう。
右手でも左手でも構いません。手のひらを軽くお腹に当ててみてください。
そして、”Yes I can!”と言ってみましょう。お腹があまり動かなかったのがわかりますね。
今度は、10メートル先にいる人に「内緒話」をするような声で”Yes, I can”と言ってみましょう。お腹が動いたのがわかりますね?そこに音を乗せて発声します。”Yes, I can!”英語を話す機会があった際には、そんなふうに、声を出すことを意識してみてください。
以前知り合ったオーストラリア人と話していた時のこと。彼と英語で話していたら、「日本語が話せるよ」と言うんです。「本当?話してみて~」と言ったら「こんにちは。からあ げ。」なんて言うんですね。次にはどんな日本語が出てくるのかと待っていたら、”That’s it!”(これだけだよ)とニッコリ。
あなたは、もっと英語が話せます!
”Can you speak English?”と聞かれたら、是非” Yes, I can!”から、コミュニケーションを始めてみましょう。
「C」・・・ コミュニケーション!
発想の転換3つ目「英語ができないと会話ができない」→「目は口ほどに物を言う」に切り替えます
人と人がコミュニケーションをとる時には、実は言葉だけでなく、目から入る情報や声のトーンなどから、伝えたり、伝わったりしています。
夫とあるお店に入って、店員さんに「すみません」と話しかける夫。すると”I can’t speak English!!”と完璧な英語で「英語が話せません!」と答える店員さん。「すみません、日本語で大丈夫ですよ」と日本語で話す夫に、”No English! I’m sorry!”と申し訳なさそうに英語で答える店員さん。そんな様子を私は真ん中で、微笑ましく見ています。
店員さんには、夫の話す日本語も英語に聞こえていると思うんです。おそらく緊張しているんですね。そんな時には、ちょっとすうっと息を吐いてみましょう。体からコリや緊張、ストレスが抜けていくのをイメージしながら、息を吐いてみるとよりリラックスできるかと思います。そのように少し緊張を解いて、相手に注目してみると、実は相手は日本語を話していたり、英語であっても、その中から自分の知っている単語が1つ、2つと聞き取れたりするものです。
また英語を習得していく過程で、一字一句をすべて理解するより、状況や相手の表情から「推測する」という力もとても大切です。相手の雰囲気や表情に注目してみると、不思議と相手が言おうとしていることが伝わってきます。
「世界と戦う」のではなく「世界とつながる」
英語が話せるようになるマインドセット「MAGIC」
MA 間違ってもいい
GI 自信をもって
C コミュニケーション
英語に対する発想の転換法をお伝えしてきました。
グローバル化という言葉をよく耳にする昨今、「英語は武器だ」とか「世界で戦う英語」とかいう表現もありますが、本当に必要とされるのは「世界とつながる英語」だと思っています。 たくさんの価値観との出会いは、人生の幅を広げてくれます。相手の素晴らしさを知る、そして、自分のことや、日本の素晴らしさも発信していける、世界の4人に1人が英語を話すといわれる現在、英語は、そんなチャンスを与えてくれる言葉だと思います。
あなたが「今」すぐ英語を話してみるきっかけになったなら、うれしい限りです。