“rice”は「稲」「米」「ご飯」

朝食のテーブル。皆、皿の上には異なる食べ物が載っている写真。

「ご飯を下さい」

こんにちは、Mihoです。

子どもや親御さんに役立つ英語教育ブログを発信しています。

今回は、何気ない日常の中に見られる文化の違いについてご紹介します。

カナダ人の夫が、来日して間もない頃にスーパーに行った時のこと。

覚えたての日本語で「ご飯はどこですか?」と店員さんに聞きました。

するとお惣菜コーナーを案内してくれました。

そこに置かれたご飯を見て、夫は「あれ?」と首をかしげました。

夫 ”I’m looking for rice.”

店員さん「はい、そうです」。

夫は、仕方なくご飯を買って帰りました。

「えっ、だって、ご飯が欲しかったんでしょ?」

と思った方もいらっしゃるでしょう。

実は、夫が欲しかったのは「米」だったのです。

手元のポケット辞書で”rice”を調べたら「ご飯」と書いてありました。

その後、夫は、英語では全て”rice”で表現されるものが、「米」を主食とする日本では「稲」「米」「ご飯」と区別されていることを知りました。

「このセットでお願いします」

今度は、私が、初めてカナダに行った時のことです。

ある朝、友人とレストランに行きました。

メニューに、スクランブルエッグとハム、ポテト、トーストがセットになった写真が載っていたので、それを指差して注文しました。

すると、店員さんが、何やら私に聞いてきました。

速すぎて聞き取れなかったので、もう一度聞いてみました。

「卵は、どう調理しましょうか。目玉焼き、スクランブル、ゆで卵、ポーチド、オムレツ・・・」と言っているようでした。

「この写真と同じでお願いします」と伝えました。

カナダの朝食では、卵がメインであることが多く、その調理方法を個別に聞くことが通常なのだと、後になって知りました。

察して行動、聞いて行動

好みを個別に聞くと言えば、友人宅を訪問する時にも、日本とカナダの違いを感じることがあります。

日本で、友人宅を訪ねると、お茶かコーヒー、または夏であれば麦茶等を出してくれることが多いです。

一方で、カナダでは、飲みたいものを聞かれることが多いです。

ちなみに我が家でも、友人が訪ねてきてくれた際に、

夫は

“What would you like to drink?”

とか

“Can I get something to drink?”

といった形で、友人に飲みたいものを聞いています。

その側で「今、うちにお茶と水ぐらいしかないけど、ジュースとか言われたらどうすんの…」と内心ドキドキしている私です。

「察してほしい」「言ってくれなきゃわからない」

どちらも相手への思いやり

どちらがいいか悪いかということではなく、どちらも相手を気遣って言動なのです。

日本では、その時の季節や訪問の時間帯に適した飲み物を迎えてくれる側が気遣って出してくれる。

カナダでは、相手の好みのものを気遣って出してくれるというわけです。

つまり、文化が異なれば、相手に対する「気遣い」の表現方法も異なるということですね。

一見、違和感のある相手の態度も、実は、そうした文化や価値観の違い故であることもあります。

言語を学ぶ時だけに関わらず、常に相手の言動の背景に想像を巡らせてみると、相互理解も深まっていくことと思います。