こんにちは、Mihoです。
子どもや親御さんに役立つ英語教育ブログを発信しています。
今日は、国際結婚の家庭内(夫:カナダ人、妻:日本人)の文化の違いエピソードです。
ハイコンテクスト文化、ローコンテクスト文化という言葉を聞いたことがありますか?
アメリカ合衆国の文化人類学者エドワード・T・ホールが、言語コミュニケーションの方を分類したものです。
「コンテクスト」というのは、文脈という意味です。
ハイコンテクスト文化は、共有している文化的背景や文脈が多いため、細かく言わなくても通じるとされる文化です。「察する文化」「空気を読む文化」と言ってもいいかもしれません。
一方で、ローコンテクスト文化は、その反対で、共有している文化的背景や文脈が少ないため、より細かく伝える必要がある文化です。
日本は、ハイコンテクスト文化と言われています。
また、英語圏は、ローコンテクスト文化と言われています。
ちなみにローコンテクストの英語圏の中でも、国によってその文脈の高低レベルは異なります。
カナダ人の夫と過ごしていると、そんなコンテクストの違いを感じることが多々あります。
例えば、こんな会話の時。
夫「今日の晩ごはんは何?」
私「唐揚げだよ」
そんなふうに「ご飯は何?」と聞かれたら、メインのおかずを伝えます。
あとは、ご飯や味噌汁、サラダ等の副菜は「言わなくても、わかるもの」という感覚です。
それで、この会話は成り立ちそうですが、我が家の会話では、その続きがあるんです。
夫「今日の晩御飯は何?」
私「唐揚げだよ」
夫「それから?」
私「ご飯と味噌汁とキムチがあるよ」
つまり「唐揚げ」と伝えただけでは、夫の頭に描かれる絵は、ポツンと唐揚げが単品で置かれた状態なのです。
ということで、主菜はもちろん、副菜も伝える必要があります。
また、夫と学生さんの間でよくある会話はこんな感じです。
夫 “What do you usually have for breakfast?”
(普段、朝食は何を食べるの?)
学生 “Rice.”
こう言われた時の夫の頭の中に描かれる絵は、お茶碗いっぱいの白米のみです。
また、学生さんが “Bread.”(パン)と答えた時に、夫の頭の中に描かれる絵は、食パン丸ごと一斤です。
日本語の文脈で、朝ご飯は何を食べるかと聞かれれば、ご飯かパンかといった主食だけを答えることが多いと思います。
ご飯であれば、なんとなく味噌汁や魚など何らかのおかずのあるのかなと想像するでしょう。
しかし、カナダ人の夫に「朝ごはんは何を食べるの?」と聞けば、「卵とソーセージとハッシュポテトとトースト」とフルメニューを説明してくれます。
それから、夫がよく聞かれる質問、
「向こうの人(カナダ人)は、朝食は何を食べますか?」
移民の多いカナダでは「カナダ人はこれを食べる」とか「カナダ料理」とかいったものがありません。
ですので、そう聞かれると夫は、
「人によりますが、僕の家では・・・・」
と答えています。
そのようにして、文化的背景が異なる人が多く集まる国は、多くの文脈を共有していないので、詳細を説明する必要があるのです。
これは、どちらがいい、悪いではなく、文化的な違いですね。
ちなみに、私が小学生〜中学生にかけては、その年代の子どもが土曜の夜にみるテレビ番組は「ドリフ」か「ひょうきん族」かといったほぼ二択だったように思います。
現在は、テレビやインターネット上のメディアなど多岐に渡りますから、同じ日本に生まれ育った人の中でも、文脈は多様化してきています。
それだけに「言葉にして伝えること」はこれまで以上に大事なことになってきています。
普段の生活の中でも、「察してよ!」と思った時には、相手に「もう少し詳しく言葉で伝えること」のサイン、また「言ってくれなきゃわからないよ!」と思った時には、相手に「もう少し詳しく聞かせてほしいと伝えること」のサインかもしれません。
そんな何気ないやりとりと自分の受け取り方を観察し、楽しんでみることが、異文化理解力を鍛えることにつながるかもしれません。